経理職への転職を成功させるために、職務経歴書は重要な書類です。でも、どんな経験を書けばいいのか迷ってしまいますよね。実は、採用担当者が見ているポイントは決まっています。
経理職の職務経歴書では、月次決算や年次決算の実務経験が最も重視されます。加えて、使用した会計ソフトやERPシステムの詳細な記載も欠かせません。今回は、経理職の職務経歴書で評価される経験の書き方を具体的に解説していきます。
書類選考を通過するためには、採用担当者が求める情報を適切に伝えることが大切です。この記事を読めば、どんな経験をどのように書けばいいのかが分かります。
経理職の職務経歴書で重視される業務経験とは?
経理職の採用では、実務経験の内容と年数が最も重要な判断材料になります。特に中途採用の場合、即戦力として働けるかどうかが問われるからです。
月次・年次決算業務の経験年数
月次決算業務は経理職の核となる業務です。採用担当者は、どの程度の規模で何年間携わってきたかを確認します。
月次決算では、売上計上から費用処理、減価償却計算まで幅広い業務を担当します。1か月のサイクルで繰り返される業務なので、経験年数によってスキルレベルが明確に分かります。年次決算についても同様で、連結決算や税務申告まで経験していると高く評価されます。
経験年数を記載する際は、単に「3年間」と書くのではなく「月次決算業務3年間(売上高50億円規模)」のように、会社の規模も併記することが効果的です。
仕訳・伝票処理の実務経験
仕訳と伝票処理は経理業務の基礎中の基礎です。どんな取引でも正確に仕訳できるスキルは必須となります。
日常的な売掛金・買掛金の処理から、固定資産の取得や減価償却まで、様々な取引を経験していることが重要です。特に複雑な取引の仕訳経験があると、専門性の高さをアピールできます。
また、伝票の起票から承認フローまでの一連の業務を理解していることも大切です。内部統制の観点から、適切な承認ルートを理解している人材は重宝されます。
連結決算や開示業務の経験
上場企業や大手企業への転職を希望する場合、連結決算や開示業務の経験は大きなアドバンテージになります。
連結決算では、子会社の財務データを親会社に集約し、連結修正仕訳を行います。複数の会社をまたいだ取引の相殺消去や、のれんの償却など、高度な知識が必要な業務です。
開示業務では、有価証券報告書や決算短信の作成に携わります。投資家向けの情報開示は正確性と迅速性が求められるため、この経験があると即戦力として期待されます。
月次業務の職務経歴書への書き方は?
月次業務の記載では、具体的な業務内容と担当範囲を明確に示すことが重要です。採用担当者が業務レベルを正確に把握できるよう、詳細に記述しましょう。
月次決算業務の具体的な記載方法
月次決算業務を記載する際は、スケジュールと担当業務を具体的に書きます。
【月次決算業務】
・売上計上業務(請求書発行~売掛金計上)
・費用処理業務(経費精算~買掛金計上)
・減価償却計算(固定資産台帳管理含む)
・月次試算表作成(翌月5営業日以内)
・予実管理資料作成(部門別損益分析)
このように、業務の流れと期限を明記することで、実務レベルが伝わりやすくなります。特に締切日の記載は、業務の正確性とスピードをアピールできます。
売掛金・買掛金管理の書き方
売掛金と買掛金の管理は、キャッシュフローに直結する重要な業務です。管理方法と実績を具体的に記載しましょう。
売掛金管理では、請求書発行から回収までの一連の流れを担当していることを示します。特に回収率や滞留債権の管理経験があると評価されます。買掛金管理では、支払期日の管理と資金繰りとの調整経験が重要なポイントです。
取引先の数や売上規模も併記すると、業務の複雑さが伝わります。例えば「月間300社の取引先管理」のように具体的な数字があると説得力が増します。
試算表作成業務の表現方法
試算表作成は月次決算の集大成となる業務です。作成期限と精度の両方をアピールしましょう。
【試算表作成業務】
・月次試算表作成(月末締め翌月3営業日完成)
・部門別損益計算書作成
・前年同月比較分析資料作成
・予算実績差異分析(差異要因コメント付き)
試算表作成では、単に数字をまとめるだけでなく、分析資料も併せて作成していることを記載します。経営陣への報告資料作成経験があると、より高く評価されます。
使用ソフトの職務経歴書への書き方を紹介!
使用ソフトの記載は、技術的なスキルレベルを示す重要な要素です。ソフト名だけでなく、どの機能をどの程度使いこなせるかを具体的に記載しましょう。
会計ソフトの使用経験の記載ポイント
会計ソフトの記載では、ソフト名とバージョン、使用期間、習熟度を明記します。
主要な会計ソフトには、弥生会計、勘定奉行、freee、マネーフォワードなどがあります。各ソフトには特徴があるため、どの機能を中心に使用していたかを具体的に書くことが大切です。
【会計ソフト使用経験】
・弥生会計プロフェッショナル(3年間使用)
仕訳入力、試算表作成、決算書作成
・勘定奉行i11(2年間使用)
月次処理、年次処理、部門管理機能
このように、機能別に使用経験を整理すると、スキルレベルが明確に伝わります。
ERPシステムの経験を効果的に伝える方法
ERPシステムの経験は、大企業への転職において特に重要です。システム名と担当モジュールを明確に記載しましょう。
SAP、Oracle、Microsoft Dynamicsなどの主要ERPシステムは、それぞれ異なる特徴があります。どのモジュールを担当していたかによって、業務範囲が大きく変わるため、詳細な記載が必要です。
財務会計モジュール(FI)、管理会計モジュール(CO)、販売管理モジュール(SD)など、担当したモジュール名を具体的に記載します。また、カスタマイズやマスタ設定の経験があると、システム構築スキルもアピールできます。
Excelスキルの具体的な書き方
Excelスキルは経理職には欠かせません。関数名や機能名を具体的に記載して、技術レベルを示しましょう。
【Excel使用スキル】
・関数:VLOOKUP、SUMIF、COUNTIF、INDEX/MATCH
・ピボットテーブル作成・分析
・マクロ・VBA(簡易的な自動化処理)
・グラフ作成(予実管理用ダッシュボード)
単に「Excel上級」と書くよりも、使用できる関数名を列挙する方が説得力があります。特にVBAが使えると、業務効率化スキルとして高く評価されます。
経理職の職務経歴書で差別化できる経験は?
基本的な経理業務に加えて、プラスアルファの経験があると他の候補者との差別化ができます。特に業務改善や外部折衝の経験は重宝されます。
業務改善や効率化の取り組み
業務改善の経験は、積極性と問題解決能力をアピールできる重要な要素です。具体的な成果と数値で示すことが効果的です。
経理業務では、定型的な作業が多いため、効率化の余地が常にあります。手作業を自動化したり、チェック体制を見直したりした経験があると、即戦力として期待されます。
改善事例を記載する際は、before/afterを明確にしましょう。例えば「月次決算期間を10日から5日に短縮」「請求書処理時間を50%削減」など、具体的な数値があると説得力が増します。
監査法人や税理士との折衝経験
外部の専門家との折衝経験は、コミュニケーション能力と専門知識の両方をアピールできます。
監査法人との折衝では、監査調書の作成や質問対応を担当します。会計基準への深い理解と、論理的な説明能力が求められる業務です。税理士との折衝では、税務調整や申告書作成の打ち合わせを行います。
これらの経験があると、社外との調整業務も任せられる人材として評価されます。特に上場企業では、監査対応は重要な業務の一つです。
IPOや税務申告業務の経験
IPO準備や税務申告業務の経験は、専門性の高さを示す重要な要素です。これらの業務は高度な知識と経験が必要なため、差別化要因として非常に有効です。
IPO準備では、内部統制の構築や開示体制の整備に携わります。上場基準を満たすための業務プロセス改善や、監査法人との密な連携が必要です。
税務申告業務では、法人税や消費税の申告書作成を担当します。税法の知識と実務経験の両方が求められるため、この経験があると税務に強い経理担当者として重宝されます。
経理職の職務経歴書テンプレートと記載例
職務経歴書の構成と記載方法を具体的なテンプレートで説明します。見やすさと分かりやすさを重視した構成にしましょう。
職務要約の書き方とテンプレート
職務要約は、経歴全体を3〜4行で簡潔にまとめる重要な部分です。経理職としての経験年数と主要な実績を盛り込みます。
【職務要約】
経理事務として8年間、月次・年次決算業務に従事。
売上高100億円規模の製造業にて、単体決算から
連結決算まで幅広く経験。会計ソフト(弥生会計、
勘定奉行)およびERPシステム(SAP)を使用した
業務効率化に取り組み、月次決算期間を30%短縮。
このように、経験年数、業界、会社規模、システム経験、実績を盛り込むことで、読み手に強い印象を与えられます。
職務経歴の詳細な記載方法
職務経歴では、時系列に沿って具体的な担当業務を記載します。会社ごと、役職ごとに整理して分かりやすくしましょう。
各職歴では、会社情報(業界、従業員数、売上規模)、在籍期間、担当業務、使用システム、実績を明記します。特に実績部分では、数値を使って具体的な成果を示すことが重要です。
業務内容は、日常業務から特別なプロジェクトまで幅広く記載します。ただし、関連性の低い業務は省略して、経理業務に特化した内容にしぞりましょう。
実績を数値で表現する書き方
実績の記載では、必ず数値を使って具体性を持たせます。期間短縮、コスト削減、精度向上など、様々な角度から成果を示しましょう。
【主な実績】
・月次決算期間短縮:15日→7日(8日短縮)
・経費処理件数:月間500件→800件(60%向上)
・仕訳入力精度:99.5%維持(3年間エラーゼロ)
・監査指摘事項:前年度10件→当年度2件(80%減)
このように、改善前後の数値を併記することで、貢献度が明確に伝わります。パーセンテージや具体的な数字があると、説得力が大幅に向上します。
経理未経験者の職務経歴書の書き方は?
経理未経験から転職する場合、関連スキルや資格を効果的にアピールすることが重要です。経験不足を補う要素を積極的に打ち出しましょう。
他職種から経理に転職する際のアピール方法
他職種での経験も、経理業務に活かせるスキルとして記載できます。数字を扱う業務や、正確性が求められる業務の経験は特に有効です。
営業職であれば売上管理や予算管理、事務職であれば データ入力や書類作成など、経理業務に通じるスキルを見つけて記載します。また、顧客対応や社内調整の経験は、監査対応や部門間調整で活かされます。
転職理由も明確に記載しましょう。経理職への明確な志望動機があると、採用担当者に本気度が伝わります。
簿記資格や関連スキルの効果的な記載
簿記資格は経理職への転職において最も重要な資格です。取得級と取得年月を明記し、学習内容も併せて記載しましょう。
【保有資格】
・日商簿記検定2級(2024年3月取得)
商業簿記、工業簿記の基礎知識習得
・Microsoft Office Specialist Excel(2023年8月取得)
・普通自動車免許第一種(2020年4月取得)
簿記以外にも、Excel関連の資格やITスキルがあると評価されます。実務経験がない分、資格でカバーする姿勢を示すことが大切です。
事務経験を経理業務に結び付ける書き方
一般事務の経験も、経理業務に活かせるスキルとして記載できます。特にデータ入力や書類管理の経験は直接的に関連します。
請求書処理、伝票整理、ファイリングなどの経験があれば、経理業務の基礎スキルとしてアピールできます。また、電話対応や来客対応の経験は、監査法人や税理士との折衝で活かされます。
正確性を重視する業務への取り組み姿勢も重要なポイントです。ミスを防ぐためのチェック体制や、品質向上への取り組みがあれば積極的に記載しましょう。
まとめ
経理職の職務経歴書では、月次決算業務や使用ソフトの経験を具体的に記載することが重要です。採用担当者が求める情報を的確に伝えることで、書類選考の通過率が大幅に向上します。
特に重要なのは、業務経験を数値で示すことと、使用システムを詳細に記載することです。また、業務改善や外部折衝の経験があると、他の候補者との差別化ができます。
経理未経験の場合も、簿記資格や関連スキルを効果的にアピールすることで、採用につなげることができます。職務経歴書は転職成功の鍵となる重要な書類なので、時間をかけて丁寧に作成しましょう。
